2012年8月24日金曜日

ブレイリオ オイルバッファローA4コンビネーションジャケットを使って

 ブレイリオ オイルバッファローA4コンビネーションジャケットを買って2ヶ月ほど使ってみたので、そろそろ使用レポートでも書こうかと思います。

 いわゆるノートカバーの類です。一般的にノートといえばB5、ちょっと気取ってA5というものですので、A4のノートカバーは数がありません。かつてミニ6穴手帳やペンシース、財布などを使っているブレイリオのオイルバッファローシリーズにノートカバーは無いものかと調べたことがあったのですが、ブレイリオは製品カタログを公開していないため、当時はこの商品の存在を知ることができませんでした。後に銀座伊東屋と水戸京成百貨店の丸善に在庫があることを知り、京成で名入れを注文して購入しました。

 コンビネーションジャケットということで、2冊のノートをはさんだり、日記とノートをはさんだり、ノートとレポート用紙をはさむことを目的に作られています。写真の左半分のように書類をはさめるポケットがあるのは良いのですが、この部分が段差になってページに字を書きにくい問題があります。A4の下敷きをはさむことで対処していますが、何か良い方策は無いものでしょうか。

 中に入れるノートはこれまでコクヨのキャンパスノートA4 A罫を使っていたのですが、デザイン変更を機会に別のノートに手を出してみることにしました。まずはアピカのプレミアムCDノートを使っていたのですが、中紙96枚というページ数のため分厚くて重いこと、途中で書き味に飽きてきたことから半分を残して今使っているノートへ変えてしまいました。やはりノート1冊は40枚程度が良いようです。

 現在使っているノートはコクヨの統計ノートハイグレードです。アピカのプレミアムCDノートは96枚で1575円であるのに対し、こちらは40枚で840円です。価格ではプレミアムCDノートの方が高いのですが、枚数単価で考えるとプレミアムCDノートが16.4円/枚に対して21円/枚と圧倒的です。安売り文具店で買うことによって13円/枚くらいになりますが、キャンパスノートの8.4円/枚とは比べるべくもありません。


 外部に公開できない情報も書き込まれているのでモザイクです。1面を1日として、左側に今日の記録を、右側に今日のまとめと明日以降の予定を書き込んでいます。これだけ高いノートなのだからさぞ裏抜けや裏写り耐性も素晴らしいのだろうと思っていたのですが、裏抜けとまではいかないまでもそこそこ裏写りします。通常筆記では問題無く、太字やペンの止まった部分で少々滲むかなといったところ。紙質は張りがあり、ノギスで厚さを測ったところキャンパスノートの0.10mmよりもキャンパスノートハイグレードの0.12mmよりも厚い0.13mmだったので期待していたのですが…。ただ、5行ずつ濃くなった横の罫線とページを8列に区切る縦の罫線はこれまで適当に決めていた書き始めの位置決めに秩序を与えてくれました。ドット入り罫線もそんな感じなのですが、こちらははっきり罫線が印刷されているぶんあちらよりも力強い印象を受けます。

 中紙96枚のノートが40枚に変わり都合54枚ぶん薄くなりましたので、コンビネーションジャケットらしくレポート用紙を差し込んでみました。世間ではロディアを差し込むのが一般的のようですが、ロディアやニーモシネといったタイプのメモは使っているうちにホチキス留め部分が出っ張ってノート側の筆記に支障が出ます。のり付けタイプのレポート用紙ならこの問題は起きません。ちなみにこちらはCampus U罫レポート用紙を使っています。ノートはどうしても理路整然と書いてしまうので、自由に何でも書いては捨てられるレポート用紙が必要になってくるのです。前はミスプリントの裏紙を使っていたのですが、プリンターを通ってきた紙はどうしても両端が丸まってきていけません。

 ペンループは意外に広く、ペリカンのM1000あたりでも余裕で収まります。残念ながらセーラーのプロギアKOPは太すぎてダメでした。写真のペンはパーカーのシグネチャというもので、万年筆のキャップにハンコがついています。たまーにお金周りの処理でハンコが必要になることがあるんです。ペン先はりぃさんと物々交換して入手したソネットの金ペン先に変わっています。

 2ヶ月ほど使ってみての感想ですが、やっぱり大きくて重いですね。大きいのはA4である以上どうしようもないのですが、コンビネーションジャケットとして作ってあるぶんノートカバーとしての必要以上に革の分量が多くて重くなっているように感じます。単なるノートカバーであればもうちょっと軽くなったでしょう(ブレイリオがA4のノートカバーを作っているのかどうか一切情報がありませんし、あったとしてもそのノートカバーにペンループがあるのかどうかわからないのですが)。革の面が広いので、なんだかんだでキズはつきます。こればかりはどうしようもありません。革の質感は良く、高級感があります。ノートをキズから守る役目は充分果たしていますし、先述した段差を除いてもなかなかよく出来ていると思います。お勧めですよ。

2012年8月12日日曜日

ペリカン コンチェルト

ペリカンの限定品コンチェルトです。

 リサイクル紙の箱に入っていました。

 側面にシールが貼ってあります。シリアルナンバーは2267、字幅はFです。

 質素な箱の中に青い外箱が入っていました。

 外箱にもシールが貼ってあります。

 付属の説明書兼保証書です。検品者と思しきサインが入っていますね。

 内容もコンチェルト向けになっています。

 サービスカードが入っていました。

 小冊子も入っています。

 内容はコンチェルトの素晴らしさについて。書体や印刷の調子がいかにもこの時代といった感じです。

 過去の限定品についての紹介もあります。ハンティングかっこいいなー。

 外箱を開けると、布製の袋が出てきます。後述の化粧箱に傷を付けないためのものだと思います。

 ピアノを模したという光沢塗装の化粧箱です。実家にあったアップライトピアノを思い出します。一切調整してなかったなぁ…。

 裏には足がありますが、さすがに経年劣化していました。

 化粧箱の中です。内張りはやわらかい布をゆったりさせたようになっています。

 シリアルナンバーを書いたプレートも入っています。



 さて、肝心の万年筆です。コンチェルトはM800ベースの限定品で、1996年に4000本が作られました。胴軸はM900トレドと同様に925‰のスターリングシルバーへおそらく食刻で模様を作り、金メッキを施した上に青い塗料を流し込んていると思われます。

 M800はいわゆるプリント天冠のM805青縞とM800赤縞を持っていますが、トレドタイプの金属軸は初めてです。ペリカンではインク窓も初めてでして、やはり窓があるとインク残量が一目でわかりますね。縞軸はインクが見えないこともありませんが、残量確認に使えるかというと実用的ではありませんでした。ペリカンのクチバシを模したクリップの付け根にシリアルナンバーが刻印されています。

 ペン先は先述したように細字のF、PFの刻印が入っています。PFの刻印が入ったペン先は現行のものと書いた時の感触が違うと言われますが、実際書いてみたところなるほど弾力が違うかなと感じるところです。

 最大の特徴である、「ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章 歓喜の歌」の一部です。あの、天上の楽園の乙女がどうとか神の計画がどうとかケルビムが神の前に立つとかそういうアレですね。私は音楽的素養が全く無い人なのでいまいちよくわからないのですが、どちらかというとクラシックよりはZABADAKの遠い音楽をイメージしています。ちなみにダイナモは回す側です。

 模様は4面、楽譜と植物?の模様が交互に配されています。この模様って何が由来なんでしょうね?この部分は少々の段差があるため、手に持ったときに滑り止めになります。また、キャップが軽く胴軸が重い構成なのでフロントヘビーな重量バランスとなっており、ペン先をコントロールしやすいような感覚があります(私はリアヘビーでもそんなに問題無く書けますのでこの点そんなに気にしておりませんが)。

 この時代のペリカンらしく、天冠はプラスチックに金属のペリカン、尻軸にも金属パネルが入っています。現行品の金属天冠は好評のようですが、私はこのタイプの天冠が最も綺麗だと思っています。

 トレド系万年筆は初めて持ちましたが、巷で言われるように筆記時のバランスは目を見張るものがありますね。金属の質感も良いものです。トレド系限定品には四神やハンティング、オーストリア1000などいくつかの種類がありますが、コンチェルトは4000本という限定数もあってかこの中ではだいぶ割安な価格で購入できる場合が多いようです。新品でM900トレドを買うことを考えると半額以下ですので、ペリカンの金属軸を持ちたいという方にもお勧めできるかと思います。


2012年8月9日木曜日

趣味の文具箱vol.23

気になった商品や特集について.

ナガサワ文具センター キップ10本差しペンケース

私のペンケースは,ペンケースごとにテーマを決めてペンを揃える傾向があります.現状でペリカンのデモンストレーター入れとセーラーの木軸入れがあるので,今度は金属軸入れが欲しいなあと.

モンブラン シグネチャニブ

幅広のペン先の名前がビスポークニブなのだと思っていました.ビスポークはオーダーメイドサービスの名前で,ペン先としてはシグネチャなんですね.あれば欲しいんですがモンブランに30万円も出したくありません.

ペリカン 蒔絵ユニークコレクション 蒔絵トレド

ペリカン 蒔絵ユニークコレクション ペリカン

どっかでオークションの噂だけ聞いていましたが,本当にやってたんですね.どう考えても100万円レベルの戦いになりそうなので見てるだけです.

セーラー プロギアKOPデモンストレーター

海外限定100本のうち国内に6本だけ入荷…というふれこみだったのですが,定番品になりました.セーラーのことですし,あまり細かいことは考えていないのだと思います.私の持っている個体はとてもなめらかな書き味でした.

アルタミラ オリジナル万年筆

キングダムノートで現物を触ってきましたが,バランスはプロシックそのものです.プロシック最大の難点であった「14k中型ニブなのに3万円」はデザイナーモデルというプラス要素で打ち消せそうな気がします.でもカタツムリ万年筆はちょっと.

趣味の文具箱 プロギアスリム限定マットブラック

このところセーラー内部で流行ってるらしいブラックIP塗装モデルです.今回はペン先刻印を省いてつるっとした黒を出したのが特徴.普段だったら一も二もなく買ってますが,オークションで大物を落とした直後なのでだいぶ厳しいです.

ローラーボール特集

先日R625を購入したこともあり,ローラーボール熱が高まっていたのでタイムリーな特集でした.三菱鉛筆やパイロットもC-300系リフィルを出していること,オートにはゲルインクや油性のリフィルもあることについての言及があれば良かったかな….R625のバイオレットを買って赤インク用にするのが現在の目標です.

手書き文字

今回は紙面上に手書きの文字がたくさん見られました.冒頭の小説家の方のインタビューにもありましたが,文字は手で書くものということを感じられ,文房具のムックらしい特徴を出せているのではないでしょうか.

路上文具考現学

道行く人の持っている筆記具を見せてもらうというのはとても面白い企画でした.私だったらその日の気分で決める胸ポケットのボールペンと手帳のキャップレスの2本ということになったでしょう.つまらん.



今回は買うぞって感じではありませんでしたね.ここ最近はビビっとくる新着万年筆が少ないという声を周囲からも聞きます.

2012年8月1日水曜日

ローラーボールでパワータンクリフィルを使う

ローラーボールにパワータンクのリフィルを入れて使う改造です。

素体はR215ブルーラッカーです。M205の群れに紛れても違和感の無いボールペンが欲しくて買ったこのローラーボールですが、万年筆の補助という用途を考えると水性ペンよりも油性ペンの方が都合が良いのです。パワータンクにしてしまいましょう。

細工は見ての通りです。 ゲルインクボールペンのリフィルを切って利用しています。リフィルはパワータンクスマートシリーズ用のSJP-7です。いわゆるフィッシャーのスペースペンと同じようなものです。だいたい3atmくらいの気圧(どうでもいいですが、分圧のことを考えるときはatmが便利ですよね。やめろって言われるんですが)でインクを押しているため、重力によるアシストが期待できない上向き筆記や宇宙空間での筆記にも対応するのだとか。

チップ側はくびれの位置が違うため、筒状のリフィル片を通すことで調節しています。長さを微調整して決めていったので、小さなパーツもあります。

長さも足りないため、リフィル片を置きます。


これでローラーボールがパワータンクになりました。今はまだペリカンでしか試していませんが、各社ローラーボールリフィルの形状がほぼ同じであることを考えるとウォーターマンなどのものでも同じ方法で使えるようになるかもしれません。LAMYは長さがちょっと長いので調整が必要でしょう。モンブランは知りません。



余談です。
 万年筆でいえば吸引機構のつまみ部分ですが、ローラーボールではリフィルを抜き差しする部分のキャップとなっています。右はR625の銀キャップです。
このパーツのネジはトラディショナル/スーベレーンで共通のようで、R625の尻キャップをR215に装着することができました。

ペリカン R625ダークブルー(旧天冠)

スーベレーン625シリーズも3回目です。

ペリカン K625ダークブルー
ペリカン M625ダークブルー


ペリカンのローラーボール、R625ダークブルーです。前回までの金属天冠と違い、こちらは黒い樹脂の天冠となります。たしかブルーオーブルーから金属天冠に切り替わったのでしたか、625シリーズは売れないので店頭在庫はだいたい黒天冠だと思います。


上からR625、M625、K625です。銀軸を持ちたい思いからちょいちょい買い足していきました。D625やバイオレットのR625も視野に入れているのですが、今度は間が空くような気がします。


ペリカンのローラーボールは万年筆と見分けが付きません。あえて黒天冠を購入したのも、万年筆とローラーボールの区別を付けるためです。中古屋にて新古品としての購入で、リフィルは付属していなかったため三菱鉛筆のUBR-300を入れています。他にもオートの300系リフィルを選べばゲルインクや筆ペンも選択肢に入ります。

キャップを外してみると違いは一目瞭然です。ローラーボールは万年筆と違って立て気味に書かないと筆記線がかすれるなどの問題が出てきますので、キャップは外して書いた方が良いかもしれません。


奥がR625の黒天冠キャップです。二つのキャップの内側を見てみましたが、違いは見て取れませんでした。交換しても問題無く締まりますので、ローラーボールと万年筆でキャップを共用しているのかもしれません。スターリングシルバーを用いているため、側面にAg925の刻印があります。925‰という意味ですね。

ペリカンの万年筆のペン先ペン芯がソケット構造になっていることは有名ですが、ローラーボールの三角錐部分も同じように外れます。R215では外れなかったので、モデルによって作りを変えているようです。もしかしたらペン先ソケットと径が同じかと期待したのですが、ぜんぜん違ってはまりませんでした。

当然といえば当然なのですが、ネット上ではR625を使っているという人を見つけることができませんでした。ペリカンはやはり万年筆、それか実用的なボールペンを選ぶのが普通でしょうから、あえて書く度にキャップを外さなければいけないローラーボールを選ぶ人は少ないのでしょう。

一週間ほど実用してみましたが、やはりローラーボールはサラサラと筆記が軽いのが良いですね。筆圧がいらない点は万年筆寄りですが、立ったままなどの不安定な状況でもペン先を気にせず書ける点はボールペンです。持ってる人もそういませんし、私はお勧めします。