スティピュラのチタンペン先万年筆「モデルT」です。
趣味文で読んで気になっていたのですが、年末の某A忘年会のついでに寄ってきたアメ横で実物を発見。その時はWagner歳末ペントレの帰りだった事もあり持ち合わせが無かったためその場は見送り、再度赴いて購入と相成りました。
ペン先はマット調に仕上げられたチタン製です。横向きにstipula、縦向きにTITANIOと刻印されています。肝心の感触は…しなります。素材だけでなくニブの形状もしなりやすいように作られているよう感じられます。
合成樹脂に混じった金色の粒が気に入ったため、色はパイライトを選びました。パイライトとは日本語で黄鉄鉱のことを言い、具体的には二硫化鉄の鉱石です。一見すると金のようにも見えるため、愚か者が金を掘り当てたと大騒ぎする様をもって「愚者の金」という別名が付いています。金と黄鉄鉱を見分ける方法は簡単、試金石に鉱石を擦りつけて黒ければ黄鉄鉱、黄色ければ金ということになります(これを条痕と言い、測定機器を持ち込めない山の現場では簡便な判別法として広く用いられています)。
さて、この万年筆には当然の事ながら黄鉄鉱など一切使われておらず、クリップに収められた黄色い石はシトリン、つまり黄水晶です。石英に不純物として鉄が含まれたもので、天然の産出量は少ない方ですので、おそらく紫水晶(アメジスト)に熱処理を施して黄色くしたものだと思います(量子論的な話は割愛)。この手のクズ石は本当に安いので、そうありがたがるような物ではないでしょう。
大胆な縞模様は多色の合成樹脂を不均一に練り合わせて切削加工する事によって生まれるようです。イメージとしてはマーブルエボナイトなどが近いでしょうか。キャップと胴軸はある程度縞模様が揃いますが、首軸は別の部位から削りだしているように見受けられます。
私は頭とお尻が平らないわゆる「ベスト型」を好むため、シルエットはあまり気に入りません。なんとなくストレッチマンを連想してしまいます。私にとっての美点はペン先の素材・ペン先の柔らかさ・軸の模様、欠点はストレッチマン様のシルエット・とってつけたようなクリップ・いまいち意味がわからない葉っぱ。といったところでしょうか。このペン先と軸の美しさは欠点を補って余りあるものだと思います。
#追記
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